会社によっては、社員の給料から積立金を集めて社員旅行の旅費に充てる会社もあります。
しかし、積立てをしたからといって、すべての人が確実に社員旅行に行けるとは限りません。
家庭の事情や体調不良などの理由で、社員旅行に参加できないケースもあります。
社員旅行に参加できなかった人は、社員旅行のために積立てていたお金が返金されるのか気になることでしょう。
自分の働いた給料から積立てているので、社員旅行に参加しなければ返金されて当然だと思う人もいるかもしれませんが、返金されるケースと返金されないケースがあります。
そこでこの記事では、参加しなかった社員旅行の積立金が返金される場合と返金されない場合を、さまざまなケースを想定しながら紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
会社が社員旅行を計画するときに、社員に対してその場で旅行代金を全額請求してしまうと、払えない人は社員旅行に参加できなくなってしまいます。
これでは社員旅行が成立しなくなってしまいます。
そのため、会社としては社員全員に社員旅行に参加してもらえるように、給料から毎月天引きをして社員旅行の費用を積立てる会社が多いようです。
天引きされる金額は、旅行代金や積立てる期間によって異なります。
このように給料から社員旅行の積立金を天引きすることで、社員が一括で旅行代金を支払うことによる負担を避けるようにしています。
また、自分の給料から天引きされているので参加しないと損をしてしまうと考え、よほどの事情がない限り参加するようになる人もいます。
では実際に社員旅行に参加できなかった場合、積立金は返金されるのでしょうか。
ここでは社員旅行の積立金返金についての判断基準となる労使協定について、また実際に社員旅行の積立金が返金されるケースと返金されないケースについて解説していきます。
◇労使協定について
労使協定とは、会社と労働者の間で交わされる同意内容を書面上で契約する協定のことを指します。
社員旅行の積立金が返金される基準は、労使協定の締結内容によって判断されます。
そもそも会社の一方的な都合だけで給与から積立金を徴収することはできません。税金や社会保険料など、法律で定められている控除を除き、会社が強制的に社員に対してお金を積立てさせることは労働基準法で禁止されています。(労働基準法第18条)
ただし労使協定を締結することで、契約内容に沿って会社は社員に対して積立てをさせることができます。
労働基準法第24条では以下の内容があります。
当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
つまり、会社と労働者の間で合意した場合には、積立金などを天引きすることができるのです。
◇社員旅行の積立金が返金されるケース
それでは、どんな場合に社員旅行の積立金が返金されるのでしょうか。
返金を求めることができるケースは、会社が「社員旅行の積立金」という名目で毎月給料から天引きをしている場合です。
社員旅行の積立金として天引きされているため、何らかの理由により社員旅行に参加できなかった場合は、会社に対して返金を求めることができます。
◇社員旅行の積立金が返金されないケース
実際に社員旅行に参加しなかった場合でも、積立金が返金されないことがあります。
それは、労使協定の名目が「親睦会費」となっている場合です。親睦会費とは社員旅行だけでなく、新入社員歓迎会や退職者へのプレゼント、その他社内イベントなどに充てられる会費です。
この場合は、社員旅行に行かなかった場合でも、そのお金は他のイベントの会費に充てられるため返金されるのは難しいでしょう。こういうことにならないために、あらかじめ労使協定の契約内容を確認しておくことが必要です。
ここまで、社員旅行に参加しなかった場合に、積立金が返金されるケースと返金されないケースがあることを説明してきました。
確かに社員旅行費用の積立てをしておけば、いざ旅行に行くときに一括で支払う必要がなくなるというメリットもあります。
しかし旅行の間際になって、どうしても行けない事情が出てこないとも限りません。そんなとき、天引きされた積立金を全額返金してもらいたいと考えるのはごく自然なことでしょう。
しかし、社員旅行費用の積立ての内容によっては、返金されないケースがあるのも事実です。
社員旅行の費用は、会社によって積立方法が異なります。したがって社員旅行に参加しなかった人が返金を求めるためには、会社がどのような形で積立てをしているのか、労使協定の内容をしっかり把握しておくことが重要です。社員旅行に参加しなかった場合は、返金される基準をしっかり理解して返金を求めるようにしましょう。